前回にひきつづき、先崎守さんのキャリアを簡単にご紹介します。
現在35歳。東証一部上場の会社のIT部門で勤務されているエンジニアです。大学の経済学部で学び、卒業後システムソフトウェア会社に就職。就活はリーマンショック後の大変な就職難の時期でした。その会社で6年ほど勤務し、最初の転職を決意されました。資格取得を目指す教育機関のIT部門に専門職として入社。そこで新コロナ禍の只中3年間勤務した後、昨年二度目の転職をされました。その転職先で満一年経過して、このキャリア面談を受けられました。
◆二度目の転職活動へ。
cc:転職しようと決めて、また転職エージェントを使ったと思いますが。
先崎:はい。
cc:どちらをお使いになったのですか?
先崎:その時はdodaではなく、リクルートエージェントを。
cc:それは何か理由があったのですか?
先崎:dodaの使用感は良かったのですが、転職エージェントは他にもあるので、今回は違うエージェントを使ってみようか・・・と。
cc:試してみようか、と。
先崎:ええ。試してみたいと。
cc:なるほど。結果的には、リクルートエージェントで次の転職先が決まったのですね。
先崎:ええ。
cc:どれくらいの活動期間でしたか?
先崎:最初の面談をしたのが9月くらいですか、決まったのが11月で。
cc:はやかったですね。
先崎:3ヶ月弱でしょうか。前より、はやかったです。
cc:何社くらいエントリーしましたか?
先崎:エントリーだけでいえば50社近く。
cc:多いですね。
先崎:ただその中で選考まで進んだのはその半分くらいで。20くらいでしょうか。
cc:そうなんですね。結構な活動規模なのですね。
先崎:結果的にですが、コロナによる休業という状況でもあったので、休業している中でいろいろ活動ができたというのは大きかったかもしれないですね。
cc:幸いしたということですね。
先崎:一日のなかで2、3社、スケジュールにほうりこむこともできました。
cc:会社から転職理由を聴かれたと思うのですが。どのようなポリシーでお話したのですか?
先崎:人間関係のことについては、やはり全面的に出してしまうとマイナスの要素が強いので、会社が休業していて、会社がこれ以上成長が難しいことを。
cc:うむ
先崎:収入も今後これ以上は難しいことも話して。
cc:うまく話しましたね。
先崎:(笑い)ある程度は。エージェントさんのアドバイスもあったりして。
cc:リクルートエージェントさんは担当1名ついていたんですか?
先崎:専任で男性の方が。
cc:幾つくらいの方でしたか?
先崎:40~50歳位の方で。
cc:かなりのベテランですね。
先崎:いろいろ話していただきました。
cc:その方の励ましや話してくれたことで、印象に残っていることは?
先崎:面談の中で、こちらの話をよく聴いてくださったりしたので、話しやすかったです。逐一ヒアリングもしてくれました。就職面接の練習もしてくれました。
◆二度転職して、今の会社では。
cc:内定がとれて。どんな会社に就職を決めたのですか?
先崎:職種としては社内のIT部門で。社業としてはBtoBで総務部門の支援をする会社です。
cc:IT室勤務なのですね。そこに勤めて丁度1年位ですか?
先崎:1年3ヶ月くらいです。
cc:今現在、今回の転職は成功でしたか?あるいは少し悔やむところがあるとか。
先崎:今のところは、うまくいっていると思います。失敗ではないかなと思っています。部分部分では前職より大変なこともありますが。
cc:うむ
先崎:繁忙期もありますが、なにより週5の勤務に戻れましたので。
cc:なるほど。
先崎:週5の勤務で、効率よく仕事をし。お客様対応もして。上司を含めて相談できる環境があるので。
cc:二社目と随分違いますね。
先崎:ええ。
cc:いい環境を手に入れられたんですね。
先崎:自分よりも経験豊富な方がいるというのは、いいですね。
cc:いいですね。
先崎:ええ。
cc:先崎さんに転職のご経験を話していただきましたが、同じ30代の方々に転職についてどのように考えたらいいのか?もしアドバイスできるようなことがありましたら、お聞かせ願えませんか?
先崎:転職する方へ、ですか?
cc:そうですね。これから転職しようかどうか迷っている人も含めてアドバイスするとすれば、どんなお話をされますか?
先崎:まず、転職そのものについてネガティブに考える必要はないと思います。
cc:なるほど。
先崎:おそらく新卒で入った会社にずうっと居続ける時代ではないのかな、と。
cc:うむ
先崎:であれば、自分の働き方については、ある程度自分で考えていくのがいいのかなと。
cc:うむ
先崎:もちろん、我慢することも大事ですが、我慢して仕事することによって自分を伸ばせる部分もありますが。
cc:ええ。
先崎:自分の我慢の限界を越えてしまうと、自分が辛くなりますので。エージェントさんに話を聴いてもらうのもいいのかなと思います。
cc:うむ
先崎:エージェントさんはすぐに求職活動をということになりますけれど、必ずしもすぐに転職活動しなくても、まずは話を聴いてもらうのは、いいと思います。職場の方であったり、ご両親であったり、周りの方に話を聴いてもらうこともありかな、と思います。
cc:同世代でIT系ではない人もいる訳で、他の業界にいるとなかなか転職しづらいこともあると思いますが。
先崎:ええ。
cc:違った業界を横並びでみてみて、転職を考えている人に、どうですか?
先崎:違う業界に行くのは、エージェントさんの話ですと、年齢が若い時。やはり28歳位ですと経験職を軸に考える方がいいように思います。
cc:最初に、先崎さんが勉強するということを話されました。自分に投資するということ、一ヶ月くらい学ぶということ、二桁くらい自分のお金を使って学んだということを話されました。非常に印象に残ったのですが、そういう専門のスキルを身に着けて道を切り開いてこられたと思うんですけれど、今でもその気概といいますか、お持ちなんでしょうか?
先崎:必要に応じて(お金をかければいいという訳ではありませんので)。Eラーニングであったり、会社の中で使えるようであれば、そういうものも使って。私の場合は、これ以上は難しいと思ったので外部のスクールを利用しましたが。
cc:誰もがやれることではないと思います。それでは最後にこれからの自分、今の会社で仕事をされていて、これからの自分のキャリアビジョンといいますか、今の会社でどういう風な自分になっていきたいか?聞かせてくれますか?
先崎:はい。今のIT部門で保守運用であったりさせていただいてますが、組織変更などで今後別の仕事をする機会もあると思います。まずは目の前の仕事をしっかりとやっていきたいと思います。その中で自分の守備範囲を少しずつ広げていきたいと考えています。そのスタンスは変えることなく、まずは実績を重ねて、信頼を得ていきたいと思います。
cc:そうですか。素晴らしいですね。最後に転職してきた人間として、今こういうことに留意しているということがありましたら。
先崎:セルフチェックは抜かりなくしています。自分の感情もコントロールしながら。
cc:感情もコントロールしながら。
先崎:はい。
cc:今日はどうもありがとうございました。
先崎:ありがとうございました。
(面談終了:45分)
「キャリアカウンセリングを受けてみてどうでした?」と先崎さんに伺ってみたところ、「自分はこんなことを思っていたんだなあと感じながら話していました」とお答えになりました。45分がご自身のキャリアを巡る旅になればいいと思います。
◆カウンセラーとして感じたこと。
先崎さんは、文科系でしたが、社会にでてからはずっとIT系で歩んでこられました。これも一つの運命といいますか、時代の大きな変化の中で、不思議な巡り合わせで方向性ができてきたと思います。
二度転職されました。一貫してプロ意識といいますか、専門家としての自分でありたいという思いが(言葉には表さないけれど)底流にながれているのではないかと感じていました。
自分のお金で一か月間勉強したこと。それを活かしつつ新たに転職したこと。転々とする仕事(アウェイ)からIT部門勤務(ホーム)へと変わるように動いたこと、人間関係のこともふれられましたけれど、今は専門家としてかつ人間としての幅を広げることを意識しながらやってらっしゃる、そう想像しながら聴いておりました。いい転職経験をすることによって、いい35歳の今をご自身で手にいれられたという気がします。先崎さんの、これからのご活躍を祈りたいと思います。