【転職の魔王様】7 黒川智花さん30歳製薬会社営業:優等生卒業宣言

TVドラマ(月10)「転職の魔王様」第7話は、転職の魔王様・来栖嵐(成田凌)と未谷千晴(小芝風花)の、いつものコンビではなくて、未谷が子育て中の姉御肌のキャリアアドバイザー・広沢(山口沙弥加)とコンビを組んでサポートします。もっとも、来栖と未谷のボケとつっこみぶりは板についてきて充分楽しめます。それに営業の横山(前田広輝)がいいところをみせてくれました。

今回のゲストは皆川晶穂(みながわ・あきほ/黒川智花好演)さん。30歳。大学卒業後医薬品メーカー(乙葉製薬株式会社)に入社し8年。営業をしてきましたが激務で離職しました。結婚を考えている恋人と一緒に暮らしています。

その彼女が転職のため「シェパード・キャリア」を訪ねてきたのですが、暗い表情をしています。どんな経緯があったのでしょうか?どんな転職になるのでしょう?来栖の云った「人も会社も、いつだって変わることができるんです」。それが第7話のタイトルです。

皆川さんのケースでは、結婚・出産・子育てを前にした女性の思いと働き方、そして優等生というテーマについて考えてみたいと思います。

●女性の結婚・出産・子育ては、働き続ける上で直面する大テーマ。

●自分を変えることと会社を変えていくこと、双方を考えてみる。

●プライベートの幸せと働く幸せの要に、自分がいる。

それではみていきましょう。

女性の結婚・出産・子育ては、働き続ける上で多くの人が直面する大テーマです。これから結婚を考える皆川さんもいつのまにか自分の結婚・出産・子育てを視野にいれて考えていたようです。今回のゲストである皆川さんの場合、転職理由は何でしょうか?彼女の暗い表情はどこからきているのでしょう?

女性の転職相談をたくさんしてきたキャリアカウンセラーとして、私が常に思うのは、今の社会・会社はまだまだ女性に負担を強いているということです。当事者である女性が、自分のチカラではどうにもならないことも多く、時間も余裕もなく、考える「ゆとり」すらない場合がほとんどのように見受けられます。

ここでは皆川さんの転職を軸に、彼女が優等生であるという一面をみていきます。

「自分を変える」という簡単なようでいて難しいことについて、何らかのヒントが得られればいいなと思います。難しいことではありますが、自分を知ることによって成長につながる機会が訪れるといいなと考えます。

自分を変えることの目的は、生きやすくするためです。笑顔を取り戻すためです。

皆川さんは同じ営業部内の先輩の産休・育休によって自分一人に仕事が委ねられてしまいました。多くの人が経験することかもしれませんが、皆川さんの場合、業務量は2倍。先輩の産休・育休、さらに復帰後も都合1年半以上それは続きました。到底持ちこたえられることではありませんでした。

上司に進言しても聞き流されてしまいました。会社は女性を大切にするといいながら、皆川さんには何もしてくれません。彼女はつぶれる直前までがんばり続けて黙って会社を辞めました。

自分が憧れていた先輩の産休・育休をカバーしようとした結果、そのような激務に追いやられたことから、皆川さんは内面で深く傷ついています。さて、それではどうしたらいいでしょう?

結論からいえば、傷ついている自分を癒していくことは、自分自身にしかできないことなのかもしれません。優等生であることを止めてみたら、あるいは何かが変わるかもしれません。

なぜならば優等生は周囲の期待を実現し続けてきた、頑張り屋さんだからです。

会社を辞めたのに、皆川さんの表情は暗く落ち込んでいるようにみえます。その内面にかかえるものは何なのか、みていく必要があります。

憧れの先輩に対して、辞める際に捨て台詞(すてぜりふ)をはいたことを彼女はずっと後悔している・・・そう恋人は来栖と未谷に教えてくれました。彼女にプロポーズをしている恋人です。会社を辞めても心は晴れず、憧れてきた先輩に対しても、好きな人を好きだと思えなくなってしまい、皆川さんは苦しい思いを抱え続けています。

本当は、突然辞めてしまわない道もあったのだと思います。しかしあの時の皆川さんには、誰にも伝えず、すべて放り出して辞めるしかできなかったのでしょう。がんばり続けて、ある臨界点を越えてしまった皆川さん・・・。

原作の「転職の魔王様2.0」(第四話)では、「優等生は、社会に出たら気をつけないといけないんです」というタイトルがつけられています。TV化にあたっては大胆に脚色し構成し直してあります。

原作では、皆川さんは「乙葉製薬」を辞めた後、(TVの展開とは異なり)大手医薬品メーカーに転職しました。しかしわずか四ヶ月で辞めてしまいます。そこからの展開はTVとほぼ同じです。

TVで「とにかく人がたくさんいるところがいいです。一人二人休んでもちゃんと回る会社・・・」と皆川さんは希望しますが、原作の大手医薬品メーカーはそんな会社だったようです。しかし皆川さんは、そこで頑張り過ぎて、またある臨界点を越えてしまったのです。

皆川さんが真面目な優等生であることが、働く中で自分を追い詰めていく状況がみてとれます。そこには未谷と同じような要素があります。未谷は自分を社畜だったと言いましたが、皆川さんは自分をなんと呼ぶでしょうか?

仕事でも、プライベートでも、優等生をめざしてしまったことが、自分の幸せを損なうリスクとなっています。

優等生が陥りやすい罠。

❶がんばろうという思いが強い。

❷仕事ができる人とみられたい。

❸我慢の限界まで耐えてしまう。

がんばることには限界があることを学ばなくてはなりません。

助けを求めることも学んでいった方がいいのです。

担当の広沢を代えてほしいと未谷に申し出る皆川さんは、気持ちに余裕がないままでした。「酷いことを言っちゃった」と恋人に後悔を滲ませて語ります。今の自分は性格が悪くなっていると自覚しています。

この恋人はよくできた人物で、しっかり皆川さんを理解し受け止めてくれています。彼を失えば今の幸せは消えてしまうでしょう。幸せを失う前に、皆川さんは自分自身を変えなくてはいけません。理解してくれる優しい人をもっと大切にすることが彼女なら出来るはずです。

自分を変えていかなければ、自分の幸せをも壊しかねないことにはやく気づいてほしいと思います。

さて、来栖は「人も会社も、いつだって変わることができるんです」といいます。

最初、職場で活躍している皆川さんの表情は、輝いていました。それが本来の彼女の姿です。その輝いている表情を取り戻すには、会社の体制も変えなくてはなりません。過重労働で社員をつぶす悪弊を直していかなくてはなりません。

社員から輝く笑顔を奪っているのは経営の体制であることに経営者は気づかねばなりません。

さて、結論です。

転職の魔王様:第7話から転職についての学びを簡単に整理すると3点あります。

❶真面目でよく仕事ができる優等生が陥りやすい罠について、理解する。

❷自分を変えることが、周囲を変えることにもつながる可能性を考える。

❸自分の狭まった視野が、自分自身の幸せを損なう場合もあるので注意!

ここで、みんなで優等生を卒業しませんか?

さて、転職の魔王様。次回は、どのような転職のドラマをみせてくれるでしょうか?

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この記事を書いた人

大前 毅のアバター 大前 毅 国家資格キャリアコンサルタント
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