転職活動を始めたばかりのあなたは、ひとりで困っているかもしれません。
例えば、このまま内定がとれなければ、転職をあきらめた方がいいのだろうか?それとももう少し少しがんばってみようか?
「どうしたらいいんだろう?」
選択肢がそこにある場合でも、選択肢そのものがみえなくなっている場合でも、意思決定はしなくてはなりませんね。
実際、転職活動は意思決定のオンパレードといえます。
次から次へと意思決定すべき事柄が目の前にやってきます。それに適切な意思決定をくだしていきたいところです。そばに信頼できるキャリアコンサルタントがいれば、あなたの「意思決定」に助言してくれるはずです。こんな時はどしどし相談してみるいい機会でもあります。
しかし、一人の場合はどう意思決定していけばいいのでしょう?
□
そんな時、キャリアカウンセリング理論には優れた研究成果があることを思い出してください。実戦に役立つ「意思決定スキル」があります。ここで、その「意思決定スキル」について学んでみませんか?
スキル=技能です。誰もが学べば使えるのがスキルです。
日常で無数の意思決定を行ってこられたあなたは、転職活動に役立つこのスキルをここで学んで、きっと賢い意思決定をくだせるようになれます。
勝つためには「戦略」が必要であるように、転職活動では賢明な意思決定スキルが大切です。望む内定を獲得するために。
それにこの「意思決定スキル」、さほど難しいスキルではありません。
ここでは、あなたに「意思決定スキル」を身につけてもらえるよう、そしてすぐに使いこなせるように、やさしく語りたいと思います。
この「意思決定スキル」を提唱したのはジョン・D・クルンボルツ博士。
職業選択とキャリア開発に影響を与えうる主要因として発表された理論の一部です。クルンボルツ博士はカリフォルニア州にあるスタンフォード大学で、社会学習理論を研究し、そこから先駆的な考えを次々と発表していきました。
職業選択やキャリア開発は「持続する学習プロセスの結果・成果である」とするクルンボルツ博士の理念が背景にあります。
私がキャリアカウンセリングの勉強をしてきて最も影響を受けた理論家のひとりです。
ここでは、あなたの転職活動における「意思決定スキル」について、クルンボルツ博士から教わりましょう。
転職活動に充分使うことができるようになります。また人生において重要な決断をくだす際にも使えるようになることでしょう。
結論は、まずここで「意思決定スキル」について認識するだけでいいのですから。
■
それではクルンボルツ博士の「意思決定スキル」を早速みていきましょう。
これは、彼のキャリア開発理論をMindMapにまとめたものです。その中の「意思決定スキル」の位置を確認してみてください。「意思決定スキル」⇒「課題へのアプローチ・スキル」⇒7つのスキル と整理されています。
それでは「意思決定スキル」(課題へのアプローチ・スキル)をひとつひとつ具体的にみていきましょう。
[意思決定スキル:アウトライン]
①目標を設定するスキル。
・目標設定ができるか?ゴールはどこなのか?
・目標達成にはどのような課題があるか?
・具体的な言葉で明確化する。
②選択肢を考えるスキル。
・どのような選択肢が考えられるのか?
・期限や課題解決方法も検討してみる。
・行動プランにざっくり落とし込む。
③価値観を見極めるスキル。
・その行動を選択し、得られるものは何なのか?
・自分の求める「ありたい姿」とは?
・自分の価値観を言語化する。
④選択肢の優先順位を決めるスキル。
・自分の価値観に基づいて、選択肢の優先順位をつける。
⑤意思決定に必要な情報を集めるスキル。
・情報収集する。
・時間をかけすぎない。
・情報収集先を複数もつ探索力。
⑥選択するスキル。
・起こりうる結果を予測し選択する。
・キャリアコンサルタントの意見も参考にする。
そして
⑦行動するスキル。
ここまでのアウトラインが「意思決定スキル」です。決して難しいスキルではありません。スキルを具体的に認識することによって、あなたのチカラになるのです。
□
①の目標を設定するスキルとは、自分がマラソンに参加するのか?短距離走に参加するのか?はっきりさせましょうということです。ゴールがどこにあるのか?それをはっきりさせて、そこに到達するまでのプロセスを吟味します。脚力、持久力、体力、能力・・・いろいろなことを勘案し目標を設定します。
②の選択肢を考えるスキルによって、どんな行動をとれば自分の望む結果を得やすいのか?を考えます。ひとつの思いつきで方針を決定せずに、常に複数の選択肢を準備する。そのようなスキルです。
③の価値観を見極めるスキルとは、自分が何を望んでいるのか?を意思決定に使うようにということです。複数の選択肢からひとつを選ぶときに、あなたの価値観に照らして選びましょう。
④の選択肢の優先順位を決めるスキルというのは、複数の選択肢を価値観に照らして、優先順位をつけてみようということです。1位:A案、2位:B案、3位:C案というように。
⑤の意思決定に必要な情報を集めるスキルは、「情報収集」によって得られた判断材料によって、意思決定を行いなさいということです。
⑥の選択するスキルというのは、「決断する」ということです。どうしても「決断できない」時もあるかもしれません。そんな時は「選択肢」や「価値観」や「情報収集」に漏れはないかを振り返りましょう。ここで決断するのは、次の行動に移るためです。
一歩が踏み出せない時があります。実際に、転職活動で「動けなくなる」場合は少なくないです。自分自身を受容してあげるためにも①~⑥をロジカルに確認してほしいのです。そこに再発見があれば収穫です。次の一歩が踏み出せます。
結論です。
今まで無意識に意思決定してきたことを、クルンボルツ博士の「意思決定スキル」で因数分解してみることによって、自らの課題がクリアになる場合があります。
自分に問いかけてみましょう。
①どこへ行きたいの?
②そこに行くために、どんな方法がある?
③あなたはどうしたいの?
④どの方法がいい?
⑤情報収集してみて、どう?
⑥ならば、これに決めよう!
⑦やってみよう!
きっと、あなたはよい意思決定ができますよ。