【転職の魔王様】5 小芝風花さん演じる未谷キャリアカウンセラー宣言

7月から始まったTVドラマ(月10)「転職の魔王様」。もうご覧になりましたか?

月曜の夜10時から始まるこのドラマ。第5話を観ました。実は第1話(7月17日)を観終わって、私は少し途方にくれました。「転職の魔王様」という異名を持つ来栖嵐(くるす・あらし)を好演している成田凌さんの発する言葉がかなり突き刺さり、パワハラで休職し結局退職することになった未谷千晴(ひつじたに・ちはる/小芝風花さん好演)さんが可哀そうで、観ていられなかったからです。

キャリアコンサルタントをしている自分の職業倫理では、同業(?)のキャリアアドバイザー・来栖の発する言葉はきつすぎて、ドラマを楽しむことができなかったからです。

第1話で離脱してしまい、四週間が経過した8月14日の晩、なんとはなしに第5話を観ました。そこで感動的なシーンをみることができました。もう一度観なおしたいと思い、Netflixで第2話から第4話までを視聴しました。第1話から第5話まで通しで観おわり、PHP文芸文庫からでている原作小説「転職の魔王様」(著者:額賀澪)も読みました。その結果次の結論に至りました。

●「転職の魔王様」は観るに値する!

●キャリアコンサルタントも感動!

●「転職の魔王様」は転職に活かせる!

正直、視聴率5%ではもったいないと思います。もっと観ていただきたいドラマです。第1話で離脱した私が言うのも変ですが、来栖嵐の毒舌は月曜夜10時に仕事を終えて観るにはきついかもしれません。題材は転職を考えていない人でも仕事につきもののケース(パワハラ、派遣、非正規雇用etc)で、身につまされる話でもあります。

ここで観方を変えて、「転職の魔王様」の来栖嵐を主役とはみなさず、未谷千晴を主役として観ることをお勧めしたいです。パワハラで会社を辞めて傷ついた未谷の成長の物語として観れば、共感できる物語です。それに私が気づいたのは、離脱して約1ヶ月後に観た第5話でした。

私は11年間、キャリアカウンセラーとして、沢山の失業者、転職者をみてきました。そこでみてきた求職者の姿が、この「転職の魔王様」毎回のゲストに投影されます。

ここでは、転職の魔王様の第5話を観て、キャリアコンサルタントの自分が感動したことについて、その感想を述べたいと思います。この記事によって、「転職の魔王様」を通じて得られる転職というドラマの本質を整理するきっかけにしたいです。

「転職の魔王様」をテキストにして、一緒に転職というドラマについて学んでみましょう。

「転職の魔王様」第5話で、転職について学べることの一つは、こういうことです。

この回は、仕事は我慢することだと思っていた未谷千晴が、キャリアアドバイザーとして働こうと決心する回です。ひとりのクライエントに関わって支援した結果として、第5話の最後に、試用期間を終えた未谷はこれからのことについて働く仲間たちに宣言します。

ー働くって結構いいもんだなあと思えるようになりました。

ー誰かに必要とされるから働くのではなく自分がこの仕事を好きだから働き続けたいです。

つまり、キャリアカウンセラーとしてやっていきますという宣言をしたのです。

未谷は、28歳で転職歴3回の戸松卓郎(とまつ・たくろう)を一人で担当することによって、変わります。本当に真剣に戸松に向き合っている面談の時の彼女の表情が印象的です。これは小芝風花さんの良さが引き立つシーンでした。それを観ている内に、未谷にはキャリアカウンセラーとしての資質があると感じることができました。

クライエントに対する好意的関心を失わない姿勢はたいしたものです。恋人を4年前に亡くしその時から人生の時間が止まってしまっていた彼にもう一度、前に進もうという気持ちにもっていけたのは、転職の魔王様のチカラだけではありません。

ー(社畜だった私と違って)戸松さんは、ちゃんと声をあげることができるじゃないですか?

その未谷のストレートな言葉は、戸松さんの心を打ったはずです。

来栖嵐の秘められたドラマについては、ここでは伏せますが、水戸黄門の御印籠を出すシーンのように「貴方の人生、このままでいいんですか?」と語りかけた後、彼はこう続けます。

キャリアアドバイザーという仕事は、苦しんでいる人のチカラになれるかもしれない・・・そう思ってこの仕事を選びました。

ここは静かな感動が広がるシーンでした。苦しんでいる人というのは、かつての来栖自身でもあり、戸松さんでもあり、かつての未谷さんでもあるからです。

そして私自身でもありました。

原作のエピローグでは、社長の落合洋子の言葉が印象的です。

迷える羊を導けるのは、迷える羊だった人だと思わない?(p308)

迷ったことのない人に、迷うことの不安や痛みはわかるでしょうか?

20代の転職に至るパターンとその対処法は、第5話のゲスト、戸松卓郎さんから学ぶことができます。第5話の題は「仕事に夢を見ないのはご自由です」。これは、ある意味で、戸松卓郎さんを挑発する言葉なのでしょう。

戸松さんは、28歳で三つ目の会社を辞め、転職エージェントを訪れました。「上司とうまくいかない」と投げやりな感じですが、もっと深い処で心に深く傷を負っていることがやがてわかります。面接を受けても投げやりで、傍から見れば自暴自棄ともいえる状態です。

「自分の人生をわざと良くない方向に進めようとしているみたいです」という未谷は、荒れている戸松さんの内面を無意識にですが、的確に見抜いていました。そこから逃げない未谷。見事だったと思います。

連絡を絶った戸松さんを諦めない未谷に、来栖は「どうしてそこまでするんですか?」と問いかけます。

私は、私がいいと思うキャリアアドバイザーを今からやります。

未谷はそう宣言し、駆け出していきました。そんな熱い思いはクライエントにも伝わるものです。

来栖嵐もまた、いい言葉を発します。

前を向いて生きてください。自分の人生をあきらめないでください。

そう静かに語りかけることによって、戸松さんは初めて前を向くことが出来ました。四年前の恋人の死で止まってしまっていた彼の人生の時計は動き出したのです。

戸松卓郎を演じた葉山奨之さんは、澄んだ瞳の中に傷ついた心を表現していたのだと思います。

さて、ささやかな結論ですが、転職の魔王様:第5話から転職についての学びを簡単に整理しますと3点あります。

❶20代の転職では、転職回数に囚われるよりも転職する理由をしっかりと自己理解する。

❷20代の転職歴3回は不利だと思いこまない。

❸自分の夢や未来への希望を失わない。

原作の『転職の魔王様』の背表紙には『ビジネスパーソン必読のお仕事小説!』とあり、帯には『若手注目作家が未来の見えない大人たちに捧ぐ「転職」小説! 辞めるべきか、残るべきか、どこに進むべきか・・・・・・』。そう記されています。

また「転職の魔王様」番組公式HPのイントロダクションには次のように記されています。

『転職希望者、1000万人ともいわれるこの時代。「この会社で、この仕事で、本当にいいのだろうかー」。転職とは・・・自分の人生の″優先順位”を考え直す機会。自分の価値は自分で決める!「仕事」に向き合い、「人生」に向き合う、すべての人に届けます』。

これからどのようなドラマをみせてくれるのでしょうか?楽しみです。

【転職の魔王様】第6話:宮野真守さん演じる39歳 転職王子の起業・独立宣言

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この記事を書いた人

大前 毅のアバター 大前 毅 国家資格キャリアコンサルタント
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