「キャリアカウンセリングとは何なのか?」。その問いに答えることは意外と難しいものです。
私の所属する団体、日本キャリア開発協会では、キャリアカウンセリングの目的を『自己概念の成長』としています。つまり「自己概念の成長」を支援することがキャリアカウンセリングであるとしています。
定義としては、キャリアカウンセリングとは、『発達的視点に立って、成長と適応という個人の積極的側面に強調点を置き、個人が環境の中で効果的かつ自律的に機能できるように支援すること。自己概念の開発を通してキャリア形成を図ること』としています。
いかがでしょう?
キャリアコンサルタントもまた日々「キャリアカウンセリングとは何か?」を学びながら、その学びを糧としてクライエントに向き合っています。学びの過程にある私としては、ここで自分が学び実践して理解している事柄に限って記したいと思います。
「キャリアカウンセリングとは何か?」
それを体感する一番いい方法は、相談者(クライエント)として、キャリアカウンセリングを受けてみることです。
カウンセラーに促され、相談者がたくさんご自身のこと、悩みも喜びも含めて語ることによって“何か”が生じます。
この“何か”が生じる瞬間に、相談者は、あっこれがキャリアカウンセリングなのか!と体感されることでしょう。
ここではキャリアカウンセリングを、もっと具体的に語ってみたいと思います。
私たちは、自分自身の経験から、どのように学んでいくのでしょうか?経験から学ぶという視点がポイントです。
簡単なMindMapをつくりました。ご覧になってみてください。
あなたが何らかの「悩み」を携えて、相談者としてキャリアカウンセラー(以下、カウンセラー)を訪ねます。
その時、カウンセラーは、相談者が自分の経験を再現するように促します。相談者自ら自分自身の経験を語っていきます。
その経験を語ることを「経験の再現」と呼び、その語りの中で使われる言葉や表現、あるいは語る際の仕草等に、その人らしさが表れてきます。自分自身の“揺らぎ”の中で「よしとするものの見方、考え方」が感じられて、それを言語化することによって「その経験から受け取った意味」を手に入れます。
自問自答したりすることによって、内省は深まり、さらにそれを言語化していきます。
その言葉に、あらたに本人も気づきを得て「意味の出現」の段階に進みます。
今までそこに在って気づかなかったことに気づく。そんな感覚です。「そうか、自分は内心ではこうしたかったんだ」といった感覚でしょうか。
「意味の出現」から、新しい「よしとするものの見方、考え方」が生まれます。新しい自己概念とも呼べるものです。
「ありたい自分」が言語化できるようであれば、その「ありたい自分」を実現するために、行動化をはかっていきます。
これが「意味の実現」です。
そして新たな経験が生まれ、その経験を内省することによる「経験の再現」、そこから「意味の出現」「意味の実現」と、新たなサイクルが回っていくのです。
経験から学ぶ学びについては、物語(小説や映画、TVドラマ、演劇)の世界でみることができます。
あの主人公は、あの苦難からああやって這い上がってきたのだなあ・・・。あそこに感動した・・・。
それは人生の主役であるあなたが、そのまま今を生きる過程で味わうことでもあるでしょう。
それを味わう際に、相手(カウンセラー)がいることによって気づきが深まるということがいえると思います。
私もまたそのようなキャリアカウンセラーでありたいと願い、学びを深めていこうとしています。