転職のリアルⅠ:先崎守さん(35歳)のケース:就職氷河期から

転職した人のリアルな声を聴きたくて、キャリア面談をしました。

事前に、転職経験者ご本人にこの『転機の技法』への掲載目的をご説明し、ご協力いただけるとの快諾をえました。記事をUpする前に本人の承諾を得ることを条件に45分間のキャリア面談を実施させていただきました。(ご本人の名前は仮名とし勤務する会社が特定されないよう配慮いたしました)。

簡単に先崎守さんのキャリアをご紹介します。

現在35歳。東証一部上場の会社のIT部門で勤務されているエンジニアです。大学では経済学部に学び、卒業後システムソフトウェア会社に就職。就活はリーマンショック後の大変な就職難の時期でした。その会社で6年ほど勤務し、最初の転職を決意されました。資格取得を目指す教育機関のIT部門に専門職として入社。そこで新コロナ禍の只中に3年間勤務した後、昨年二回目の転職をされました。その転職先で満一年を経過したところで、このキャリア面談を受けられました。

[ここでは、大学での就活経験から最初の転職の直前までの七年間をご紹介します。]

キャリアコンサルタント(以下cc):こんにちは、少し緊張していますか?

先崎守さん(以下、 先崎):まあ、大丈夫です。

cc:今日は、先崎守さんの、これまでのキャリアを振り返るような場にしたいと思います。

先崎:はい。

cc:お幾つでいらっしゃいますか?

先崎:35歳になりました。

cc:大学ではどんなことを学びましたか?

先崎:経済学部で、主に経済や貿易について学びました。

cc:大学では、どのような分野が興味・関心の対象だったのですか?

先崎:大学の2、3年くらいのときですか、日商簿記の資格をとる講義に参加していまして、一応在学中に3級と2級をとりました。

cc:ほぅ すごいですね。

先崎:専門分野の何かを極めるというよりも、自分の視野が広がったり、道が開けていったりとか・・・そんな大学時代でした。

cc:学習に対する自分なりの価値を見出したというか・・・。

先崎:ここで、学習の習慣をつけて、そのうえでスキルを身に着けるということを学べたことが大きかったと思います。結果的に就活で決まった会社の志望動機にもつながりました。

cc:就活の時って、結構就職難だったのでは?

先崎:ええ。2011~12年の頃は、いわゆる「就職氷河期」といわれてましたね。

cc:「氷河期」真っ只中・・・。

先崎:うむ

cc:今から振り返って、就活の時はどんな感じでした?

先崎:最初目指していたのは、日商簿記検定をとったということもあって、経理分野を検討していました。経理とか簿記に関われるような分野を。経理部門とか最初は目指していたんですが、新卒でさっといける処でもなくて・・・いったん、その、方向転換して・・・。その中で自分が学んできたこととはかなり違う分野ですが、システムの、IT系ですかね、少し興味を持ちまして。普段自分が生活していても関わることが多いので、そういったものの裏側をみてみたいという興味を覚えたこともあったりして、自分がそのスキルを身に着けていけば今後も少なくとも仕事に困らないだろうと。そんなところでIT系を、ソフトウェア業界を志した感じですかね。

cc:そうなんですね。文科系で、どちらかというと工学系・理科系の分野を攻めていくというのはどうですか、勇気がいったのではありませんか?

先崎:はい。ただ会社説明会の時に、決して理系だけの人、もちろん企業によっては理系のみの処もありましたが、参加した中では文科系の人も活躍されています、と。そういう話をいろいろ伺って、必ずしも理系だけの職業ではないのかなと。話したり文章をつくったりとか。専門分野については、自分の勉強とか、いまはスキルが無くても徐々に(身に)つけていくというところで、いいのかな、と。

cc:エントリーシートを出したりとか、面接に進めなかったとかいうこともふくめると、どれくらい応募されたのですか?

先崎:・・・応募だけでいうと100社近くになるのかと。

cc:すごいですねぇ。

先崎:ありがとうございます。100社・・・。選考としても、60社くらいは行ったのかなあ。

cc:それは、がんばりましたねえ。

先崎:ありがとうございます。

cc:その、IT系に自分の方向性を向けていこうと考えるようになったのは、ざっくりとですと、活動してから何十社くらいからですか?

先崎:記憶しているのは二十社くらいからでしょうか。

cc:かなりはやい段階ですねえ。

先崎:切り替えてからは、そちら側に絞って。

cc:絞って。

先崎:規模うんぬんよりは、その業界に・・・ある程度、ざっくばらんにいろんなことが出来て、入社してからの研修制度とか整っていて、というところで、いろいろとみてきたという感じです。

cc:それでその、最初に内定をくれた、その会社に就職を決めたということですか?

先崎:2011年8月ごろでしたか。結果的に1社目となるシステムソフトウェアの会社に内定をいただきましたので、そこに。新卒としての就職活動を終了することにしました。

cc:内定をもらったとき、どうでした?

先崎:その連絡は、書面で来まして。内定のイメージとしては電話で受けるものかと思っていましたが、最初に書面で来た時に、履歴書かなにかと思ったら、中から内定通知書がでてきて・・・。

cc:最初の内定・・・本当にがんばられましたねぇ。そして無事に8月に決まって、大学を卒業し、そのシステム関係の会社に。具体的にいうとその会社の得意とする分野というのは、どういう分野でしたか?

先崎:ええと・・・。

cc:その、入る前のイメージとしては?

先崎:入る前は、私としてもその業界を深く理解していなかったということもありまして、やることはそのソフトウェアのシステム開発、インフラ分野の構築であったりネットワークの構築であったりを得意とする企業ではあるんですけど、その会社の事務所で仕事をするというよりは、各お客様先に常駐するような形で。

cc:客先常駐で。

先崎:システムエンジニアということだったので、少し、まったく想像していなかった訳ではないんですけれど、いろいろと変わる環境でやるんだなあ、と。

cc:その会社には何年くらい勤めたのですか?

先崎:結果的には6年と、3か月ちょっとです。

cc:ずいぶん、がんばったんですねぇ。

先崎:やはり6年、6年間に何回か、その(転職を)考えるような機会はありました。

cc:どんな時に考えました?

先崎:壁にぶつかったというか、苦労したというか、苦労の度合いはいろいろあったのですが、まあ、いくつかの苦労の中で、まず一番最初にシステムの開発などへ、なかなか現場に入ることができなかった。別の仕事、例えば中途採用の面接、とか。そういった他の人とは違う仕事をやっていました。

cc:うむ

先崎:というところで、大丈夫かな?と。そういったことも仕事の一環としてこなしていき・・・。まあ、そのあとでそういうことを乗り越えて現場に入っていきました。技術に関しては、まあ理論の本を買ったりとか、ネットで調べたりとか、やってはきたものの、いざ現場に入ると、現場に放り出されて。そんなにあまくはないので、その中で自分の得意な部分と、得意というか何とかこなせる部分と、拾って繋いでいった、といった感じがあったんですが、やはり3年目の時に、一つの目安が3年と云われますが、いわゆる完璧なスキルのアンマッチにぶつかる場面があって、ま、いろいろと行き違いがあったのですけれど、3年目の私に対して8年目相当のスキルを求めているようなことがあって、これではつぶれてしまうな、と。 そのまま、続けることは、あんまりだったので、学ぶ機会を設けました

cc:どんな学びをしたんですか?

先崎:もともと勉強もそうだったのですが、IT系のスクールで。そこで一ヶ月位ですかね、いわゆる代休というか、次の現場が決まる前に使うことができるお休みを、それもうまく使って、まあ、休みをもらっている中で少し勉強しようと・・・。

cc:立派ですねぇ。

先崎:ええ。

cc:結構、お金がかかったのでは?

先崎:まあ、それは自己投資なんで。

cc:それ、何万じゃきかないのでしょ?

先崎:はい、さすがに一桁ではきかなかったですねえ。

cc:そうですか。それを自費で?

先崎:自己負担で。

cc:立派ですねぇ。それで、会社を辞めるって選択ではなくて、勉強してまたその会社でがんばろうっていう感じになったんですね?

先崎:ええ、その時には転職できるものなのか、わからなかったので、もうしばらくいる・・・という感じでした。

cc:うむ。

先崎:そこからまた3年くらいですかねぇ。

(以下つづく)

転職のリアルⅡ:先崎守さん(35歳)のケース:最初の転職から

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この記事を書いた人

大前 毅のアバター 大前 毅 国家資格キャリアコンサルタント
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