先日、転職についてキャリア面談をしました。
30代の男性です。面談の中で大学時代の就活の話がでました。こんなエピソードです。
「百社ほどトライし最終的に1社から内定をもらうことができました」。
リーマンショック直後の就職難の時期だったようです。
立派だなあと思ったのは、徒労のようにみえる百社へのトライアルは、まさにフィールドワークでもあったことでした。
自分の希望・適性と業界・職種のマッチングを行い、方向性を微調整し、目標を定め直し、そこに絞って応募。そして最終的に1社を射止めました。勝利しました。
流されているのではなく、自分の望む思いが原動力(ドライビング・フォース)になっていたことでした。
その過程は一見徒労にみえるかもしれません。しかし、数か月におよぶその経験は、その方を成長させることにつながったようです。その経験を通じて、知的格闘技のできる社会人に生まれ変わったのです。
何度も折れそうになる心を自ら支えながらの数か月。本当は自分自身に勝った・・・。そのように私には感じられました。
そんな面談を終えた後にこう思いました。
ここで一旦キャリア理論を脇において、<知・情・意>という人間をはかる尺度(スケール)で転職を捉えてみよう、と。
徹底的に地上目線で。
転職するあなたの立場から、もう一度リアルに転職を考えてみたいと思ったのです。
ここでは「知的格闘技」をするための最低限の準備をおさえておきたいと思います。普段無意識にあなたが行っていることが、「こういうことだったのか!」と再発見することもあるでしょう。
さて、それでは何を準備したらいいのでしょう?
それを知りその準備を実行すれば、勝利に50%近づきます。残りの50%はそれに沿った「行動」あるのみです。
「知」(intelligence)の世界はそれほどのチカラがあります。学べる「知」の背景にはおびただしい試行錯誤と失敗があります。それらから「知」は抽出されました。
簡単なMindMapに、ここで学ぼうとする「知」の体系をまとめました。ご覧になってみてください。
<知・情・意>の中にある「知」の尺度(スケール)に、あなたの準備すべき事柄を整理してあります。
いざ事を起こす前にできれば準備しておきたいことです。
「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という言葉があります。孫子の兵法ですね。
・敵を知る・・・「リサーチ」によって自分の望む求人情報を把握している。
・己を知る・・・「自己理解」によって自分自身を知っている。
それによって、「戦略」(戦い方)は組み立てられます。
戦いは消耗しますから、戦略をたてて最小限の努力で最大限の成果をあげようとします。
ここで「自己理解」があいまいなまま転職活動に入っていくことは、あまりお勧めしません。自分自身のことは全ての行動の起点ですから、できるだけ言語化してみましょう。
・何をしてきたか?・・・Do
・何ができるのか?・・・Can
・何をしたいのか?・・・Want
履歴書や職務経歴書をまとめる作業を通じて自分自身のことを「言語化」できるでしょう。まずは書いてみる。自分がどのようなキャリアを経験してきて、今どう思っているか?今どこに進んでいきたいのか?
それを自分で言葉にしていくことによって、考えを整理します。面接対策にもなります。自分の言葉で語れるように。
そして「リサーチ」です。
それによって、現実世界をつかみます。
労働市場(マーケット)で、自分のほしいもの(求人情報)を明らかにしていきます。インターネットでたくさんの求人情報をみることができます。HWの求人も今ではネット検索できます。転職エージェントから情報提供される前に、できるだけ自分で情報を掴む訓練をすませておいた方がいいでしょう。与えられたエサに飛びつくのではなく自分でエサを探しましょう。
情報にふりまわされないように。求人をみる自分の眼を養います。自分の現実を見る眼。その現実と自己理解とのマッチングによって、応募すべき、応募したい求人がみえてきます。
「戦略」については別記事で詳述したいと思います。
「OODA LOOP」(ウーダ・ループ)とあるのは、戦闘機パイロットの訓練された「意思決定スキル」です。
「トップガン」や「トップガン・マーヴェリック」で描かれた世界ですが、これはあなたの転職活動にそのまま応用できるものです。是非あなたに使ってもらいたいスキルです。
なぜなら転職活動の主役は、間違いなく あなたなのですから。