「転機」ということに着目するようになったのは、今から十二年くらい前、キャリアカウンセラー養成講座にかよっていた頃でした。その時、私は失業しており再就職を目指して悪戦苦闘していました。
キャリア理論の学びの中で、「転機」についての理論に私は出会ったのです。
ウィリアム・ブリッジズ。William Bridges。転機の理論。その著作『Transitions Making Sense of Life’s Changes』を読みたくて、絶版となっているらしいこの本を求めて国立図書館を訪ねました。そして読むことができました。翻訳名は『トランジション 人生の転機を活かすために』です。
後年、丸善で原書をとりよせました。世界中で50万部以上売れたベストセラーと表紙にはあります。その表紙の下にはこのような言葉が並んでいます。日本で書籍の帯(おび)に相当する機能なのでしょう。
STRATEGIES FOR COPING WITH THE DIFFICULT,PAINFUL,AND CONFUSING TIMES IN YOUR LIFE
私はそのとき失業していて、これからの人生をどのように切り開いていけばいいのか?わかりませんでした。キャリアカウンセラー養成講座に通うことにしたのも、転職支援会社の担当キャリアカウンセラーに強く勧められたのがきっかけで、積極的な希望をもって講座を受講した訳ではありません。しかし、その講座の中でこの「転機の理論」に出会ったのでした。
この転機の理論に惹きつけられたといってもいいと思います。失業や再就職、転職は、日常の世界における「転機」そのものであると私は考えています。
私の人生はその時、困難で、痛みを伴う、混乱した時でした。それらに対処するための何らかの戦略を必要としていました。ウィリアム・ブリッジスはそのときから、私の師匠になったのです。
転機の最中にあって、戦略を練ることの意味とその重要性を私は身をもって学びました。
キャリアカウンセラーになって、また後年キャリアコンサルタントとしての仕事をするようになって、私は担当するクライエント(その多くは失業しており再就職を望むか、転職をせざるをえない状況下にある人々)に対し、いろいろな支援をしてきました。
さまざまな支援の中で、この転機における戦略については特別に力を注いできたように思います。なぜならば、戦略のない処に勝利もまたないと思うからです。
このブログの中で、転機と転職、それらに駆使できる戦略について考察していきたいと思います。
流されゆく小舟の中で、ふさわしい戦略こそが自分を支え、自分を守り、自分の意志に基づいてたどり着くべき港へと導いてくれる羅針盤であり地図だと思います。
流されてくこともまた織り込んで、自らの戦略を練り上げることは救いの一手となります。
そんな戦略について、ここで一緒に学んでいきましょう!