プレジデント社が月2回発行しているビジネス誌「PRESIDENT(プレジデント)」は、日本雑誌協会調査によるとNo.1ビジネス誌なのだそうです。私も興味あるテーマの号を時々購入しています。最新号(2024.3.29号)の特集テーマは「定年」の新常識2024 で、定年を控えたビジネスマンの不安な気持ちをつかむために購入しました。
ざっと目を通してみて、そういえば前にも同じような特集テーマがあったということに気づきました。書架を探してみると、やはりありました。まったく同じタイトル「定年」の新常識 です。丁度1年前の2023.3.31の発行でした。写真はこの2冊を並べたものです。左は昨年の号。右は2024最新版(完全保存版!)です。
ビジネス誌の表紙は、購入してもらうために読者を惹きつける様々な工夫がなされています。出版社のノウハウが満載です。購入してもらえるかどうかは表紙にかかっています!
1年をはさんでほぼ全く同じ表紙で「定年」の新常識を特集するということは、きっと「定年」にまつわるテーマが、この時期(年度末)によく売れるテーマだからでしょう。ビジネス誌「プレジデント」の読者が「定年」について何を知りたがっているのか?推測しながら読んでみました。
最新号は「定年」の新常識2024というタイトルの下に、{金持ち定年vs.貧乏定年}とあります。ですから「お金」についての情報が最新号の基軸となっていることが伺えます。特集62ページのうち「お金」に関するのは22ページありました。35%は「お金」に関する不安解消についての記事が占めていることになります。
次に「仕事」に関する記事は10ページありました。全体の16%は「仕事」に関する不安解消についての記事ということができます。
3大不安を「お金」「仕事」「孤立」と定義している最新号です。「孤立」しないための記事は17ページで全体の27%を占めています。
「お金」>「孤立」>「仕事」の順で、これら3大不安の解消に関する記事が特集の約8割を占めていました。
もっとも表紙には「9割は、準備不足で大損!」とあるように、ほとんどすべての人は準備不足で(お金では)損をしているということでもあります。「お金」の記事は特効薬としての効き目は、どうでしょうか?(資産額も年金受給額もローンの有無も、一人一人事情は異なります)。
その人にあった幸せのカタチを追求するのが生きる道ですから、お得情報であるか否かは読者1人1人が判断することになります。
「お金」は短期的に失うことはあっても、短期的に大きく稼ぐことは難しいものです。投資に失敗すれば、一瞬にして富を失います。一言でいえば、お金については時間をかけて備える、ということにつきるわけです。お金で困らないように、できるだけ長く働くという選択肢も残されていますから、定年を控えてこれから「仕事」をどうするか?ということにも係わってくるのが「お金」の不安ということになるでしょうか。
さて、最新号で私は3つの興味深い記事を読むことができましたので、ご紹介したいと思います。
❶50代60代のリアル公開 2000人大調査! もっと準備すればよかったランキング
❷70代80代の教え 400人調査 定年後にやってよかったベスト10
❸最新研究から教える、人生の幸福感を最大化させる「50代からの7大行動」
要約してみていきましょう。
①「もっと準備すればよかった」篇について
仕事の後悔ランキングの1位は「資格を取っておけばよかった」です。定年後を見据えた勉強や準備をしなかった後悔です。お金の後悔ランキングの1位は「もっと貯金をしておけば・・・」でした。成程。人間関係の後悔ランキング1位は「もっと親孝行をすれば・・・」というものでした。うむ。健康の後悔ランキングの1位は「歯をしっかりケアしておけば・・・」でした。この記事の最後は「躊躇していたらあっという間に過ぎてしまう」という文章でしめられています。
②「定年後にやってよかった」篇について
お金については「節約より惜しまず使え」。人生については「旅行の勧めとそばにいてくれる配偶者を大切に」。健康については「ウォーキングの勧め」があげられています。後悔先に立たず。先達の言葉に耳を傾けて、とにかく実践するのが後悔しない秘訣なのでしょう。
③「人生の幸福感を最大化させる」篇について
人生の幸福感は48.3歳を底として上がっていくという最新研究が紹介されています。シニアの幸福感が高まることを「エイジング・パラドックス」と呼ぶのだそうです。そんな幸せを支える行動が7つあげられています。
1)エイジズムによる否定的な思い込みを捨てる。2)自分中心で。3)年齢にこだわらずフラットに人と付き合う。4)仕事そのものを楽しむ。5)好きなことで副業を。6)しかしプロ意識を持って。7)ゆるい交流の場へ。年齢を忘れて、好きなことをあるがままに・・・そんな姿勢が幸福感を増してくれるのかもしれません。
「定年」というものは、社会人になって働く人生のある意味ではゴール地点であると思います。
そのゴールをスタートラインと捉えれば、きっと様々な工夫によって楽しい人生を目指していけると思います。
そんなことを考えるきっかけを「PRESIDENT」の最新号は与えてくれました。
さて、1年前の表紙には次の一文が掲げられていました。
定年前後のお金・孤独・健康◎人生好転3大法則
この3大法則は、読者ひとりひとりが考えて、実行に移して初めて3大法則として完成するように思います。1年前のこの本の読者は、人生のどこに立っているのでしょう?
後悔していないことを祈るばかりです。
あっという間に過ぎてしまう人生を前に、あなたはこれからどう行動に移していくのでしょうか?