トランジションの過程:転機の空白地帯「ニュートラルゾーン」で

これは人生の「転機」になるだろうなあ。そう思える時があります。

キャリアにおいては、突然の解雇や会社の倒産、新規事業プロジェクトの解散、異動、左遷、降格・・・いろいろな波乱にもまれ、どうしていいのかわからない時に、人は「転機」を強く意識するのかもしれません。あるいは幸せな職業人生を過ごし定年退職を迎えるときにも、人は自らの「転機」を思うかもしれません。自ら決心し離職してもそれは転機かもしれません。

そんな「転機」の時にあって、自分自身の経験をふりかえりながら、ここでは転機の空白地帯ともいえる「ニュートラルゾーン」について考えていきたいと思います。

そもそも「転機」という言葉は知っていても、自分自身の内的体験としての「転機」というものに備えのなかった自分がいました。備えがなかったということは、内的体験としてその時味わっている「ゆらぎ」がどういうものであって、これからどうなっていくのかということに全く対処できない自分がそこにいたということです。わからない感覚が目の前に立ち現れる感覚でした。

ここで転機の「ニュートラルゾーン」について学ぶのは、あなたの転機においてきっとここで学んだことが役立つと思えるからです。少しでも苦痛を和らげ混乱を鎮める一助になればと思います

ウィリアム・ブリッジズの「トランジション 人生の転機を活かすために」の「ニュートラルゾーン」のパートをMindMapにまとめてみました。ご覧になってみてください。

出典:『トランジション 人生の転機を活かすために』発行所:パンローリング株式会社

ここでは、自分自身の体験から「ニュートラルゾーン」について解説してみたいと思います。

私にとって「空白の場所」というのは、シドニーでした。

会社を8月の末に希望退職し、9月から本来であれば再就職の活動に入るはずでした。しかし求職活動にすぐに移行できない自分がいました。

今ふりかえってみると、その年の1月から8月までのドラマが波乱万丈であったため気持ちの整理がついていなかったのだと思います。加えてこれからの見通しもまたまったく立っていなかった状態でした。自分の気持ちが追いついていないといいますか、9月、10月と応募書類等の作成をしたものの、内面に求職活動を支えるようなエネルギーが感じられない時期を過ごしました。

さてさて、どうしたものか。

その時たまたま読んでいた村上春樹さんのエッセイ『Sydney!❶コアラ純情篇』『Sydney!❷ワラビー熱血篇』(文春文庫)にふれて、ふとシドニーに行ってみたいなと思ったのです。

2000年9月のシドニー・オリンピック。村上春樹さんが23日間の感動を伝えるシドニー日誌。今でも大切にとってあります。

その上巻に、シドニーからおおよそ千キロあるブリスベンまでのドライブでのエピソードが記されていました。

道路際に看板が立っています。

stop.revive.survive(停まって、元気をつけて、生き残ろう)」(p172:引用)

なんのあてもなく初めてのダウンアンダー(南半球)に行ってみたいという思いで、シドニーへ向かったのでした。

stop.revive.survive

シドニーの街をひたすら歩き、カフェで珈琲を楽しみ、魚市場でオイスターを食べ、バスに乗り、フェリーに乗り、また歩く。

そんな数日間、私はシドニーという不思議な街に遊んでもらった気がします。

それが今思えば、「ニュートラルゾーン」そのものでした。

帰国して、求職活動を始めました。

心の中に、南半球の心優しい都市シドニーの思い出がありました。

どんな過酷な求職活動になろうとも、戦える気がしました。そして戦えました。

シドニーから半年後、私は内定をとることができました。

surviveしたのです。

トランジションの過程:転機は「新たな何かが始まる」時に終わる

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この記事を書いた人

大前 毅のアバター 大前 毅 国家資格キャリアコンサルタント
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