「今、自分は人生のどこに立っているのだろうか?」
それを見失ってしまう時があります。
転職を考え、決断し、転職活動をし、内定がとれた。
そのプロセスの過程で、もしもその一連の変化が、自分自身の「転機」であると思えるならば、「この本」をお勧めしたいです。
転職そのものが常に「転機」であるとはいえないとは思いますが、多くの場合、「転機」を感じるきっかけが転職のプロセスの中に在るように私は思います。
「今、自分は人生のどこに立っているのだろう?」と自分の立ち位置を見失いかけている時、あるいは転機の渦中にあって、自分は「どうしていけばいいのだろう?」と考えている時、この本は静かにあなたに語りかけてくれるに違いありません。
私自身がそうでした。そんな時に、この本に出会ったのです。
「転機」の渦中にあると感じていた十二年程前は、どのように生きていけばいいのかわからないと感じていた時でした。絶版となっていたこの本(翻訳書)を読みたくて、初めて国立国会図書館を訪ね、そしてこの本に向き合いました。この本を吸収したくて、その目次を書き写しました。それをMindMapにしたりもしました。その結果として、私はこの本のことを本当に自分のものにしたのかどうか?自信はありませんが。
それでも、何故、あなたにこの本を紹介しようとしているのか?
その思いを言語化してみましょう。
あなた自身が人生の中で、転機ということについて学ぶべき時がきっとあると思います。それが今でなくとも。
自分がどこに立っているのか?それを考える。考えることとは学ぶ契機にもなります。学び続け、そして成長しようと考えている人にとって、この本は示唆に富む本となるでしょう。
絶版となっていたこの本は、幸いなことに改訂版が翻訳され、手軽に読むことができるようになりました。
その表紙には、このような言葉が書かれてあります。
「転機や節目は、しんどいが、ここを超えるたびに、本当の自分が見えてくる」。
そうですね。「しんどい」時をどのように生きていけば、新しい自分に出会えるのか?ーそれをガイドするのがこの本なのです。
MindMapでこの本をまとめると、次のような構成になっています。
著者もまた人生の転機を迎えている時に、この本を執筆する道を選びました。
Transitionという言葉に筆者は「転機」の概念を託しています。デイリーコンサイス英和辞典には、transitionは「移り変わり;過渡期」とあります。一方、デイリーコンサイス和英辞典で「転機」の英語を調べるとa turning pointと出ています。
著者ウィリアム・ブリッジズ氏は「転機」はpointではなくて一定期間を要するものと捉えており、transition period(過渡期)と考えています。
著者は転機のプロセスを「何かが変わる」「ニュートラルゾーン」「新たな何かが始まる」という3つの段階で詳述しています。今、転機のプロセスの中で、どのあたりにいるのか?その手がかりを得られると思います。本の構成としては第二部にこの「トランジションの過程」があり、その前の第一部「変化が必要なとき」で、転機そのものを探求するという形式をとっています。
その第一部「変化が必要な時」の中に、「仕事とTransitions」という章があります。職業生活におけるtransitionについて示唆に富むものがあります。
キャリア面談の過程で船長の経験もあるクライエントから教えてもらった言葉があります。
「今、船がどこにいるのか?それは重要なことです」
私は、その言葉の重みをそのとき感じました。
きっとパイロットに尋ねても、飛行機が今どこを飛んでいるかが、とても大切な情報だと教えてくれるのではないでしょうか?
あなたにも尋ねたくなります。
「今どこに立っているのですか?」。
この本は、安易なハウツー本ではありません。
共に人生の転機について探求していきましょうという本です。
なぜ、そんなことが必要なのでしょうか?
それはおそらく自分自身の人生の中で、自分は今どこにいるかを知ることが大切なことだからです。
そこでしんどい思いを経験している自分を味わい内省していくことこそが自分の人生を豊かにすると著者も私も信じているからです。
そんな季節を過ごしているあなたには、お勧めしたいと思います。
きっと座右の書となるに違いありませんから。