日経新聞に連載の「世界を変えた公共広告」で「The Hiring Chain/採用の輪」が紹介されました。とても明快なメッセージです。“ダウン症の人たちをもっと雇用しよう”“彼らは職場で十分力を発揮してくれる”。そのメッセージは世界中の経営層にストレートに届きました。ビジネスSNSの「LinkedIn」にこの動画は公開され、1週間で世界800社以上が支援団体の運営する雇用促進プログラムに応募したとのことです。その支援団体はイタリアに拠点を置くダウン症コミュニティ「COORDOWN」。2021年のことです。
公共広告は世界を良き方向へと動かす力を持っていることを証明しました。
歌手のスティングが軽快に歌います。動画はその歌詞に沿って映像が紡がれていく構造を持っています。その歌詞をみてみましょう。YouTube日本語字幕を採録しましたので、ここにご紹介します。
「パン屋はシモーヌを雇った」「誰もが見た」「彼女は仕事ができる」
「弁護士はパン屋に行って」「働くシモーヌを見た」⇒「弁護士はジョンを雇った」
「パン屋がシモーヌを雇ったからだ」「パン屋はシモーヌを雇った」
「歯医者は弁護士事務所に行って」「働くジョンを見た」⇒「歯医者はソフィアを雇った」
「弁護士がジョンを雇ったからだ」「パン屋がシモーヌを雇ったからだ」「パン屋はシモーヌを雇った」
「農家は歯医者に行って」「働くソフィアを見た」⇒「農家はケイトを雇った」
「歯医者がソフィアを雇ったからだ」「弁護士がジョンを雇ったからだ」「パン屋がシモーヌを雇ったからだ」「パン屋がシモーヌを雇った」
「床屋は農家に行って」「働くケイトを見た」⇒「床屋はポールを雇った」
「農家がケイトを雇ったからだ」「歯医者がソフィアを雇ったからだ」「弁護士がジョンを雇ったからだ」「パン屋がシモーヌを雇ったからだ」「パン屋がシモーヌを雇った」
「パン屋は床屋に行って」「働くポールを見た」「彼は知らないが」「それは彼の第一歩のおかげだった」
「床屋はポールを雇った」「農家がケイトを雇ったからだ」「歯医者がソフィアを雇ったからだ」「弁護士がジョンを雇ったからだ」「パン屋がシモーヌを雇ったからだ」「パン屋がシモーヌを雇った」
「はたらくがつながる♪」を始めよう。詳しくはHiringChain.orgで。変えていこう!
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パン屋が床屋に行った時に、彼の疲れてる雰囲気が良かったです。パン屋の日々の労働は過酷です。朝早くからパン職人は働いています。そんな彼が待合室でなにげなく働くポールを見る。
そう、パン屋は知りません。自分がシモーヌを雇ったところから、この「採用の輪」が広がっていったことを。
人の善意が世界を豊かにしていく。そのことを信じたい。
最初は、たったひとりが始めた善きことが、それに影響を受けた人々によって、善きことの輪が広がっていく。
そういうことを信じたいと思います。
世界を不幸と憎しみに染めていく輪が一方にあることを、私たちは嫌という程知っている。毎日毎日それを学習している。
しかし、もうひとつの「輪」があることを信じたい。善意と善行と少しの勇気でもって世界を幸福と生きる喜びに染め上げていけることを、私たちは信じましょう。
そうです。
あなたが、最初のパン屋さんになる番なのです。